前回のファジアーノ岡山・木村社長に続き、今回は、岡山湯郷ベルの本田美登里監督をお迎えしての本音トーク。監督就任のエピソードから選手の素顔まで、熱いトークの応酬でした。
梶谷
そもそも静岡・清水出身の監督がなぜ岡山の湯郷ベルを率いることになったんですか?
本田
選手を引退したあとは、日本サッカー協会で働いていたんです。その頃は、バブル崩壊の影響で女子サッカーは、まさに前途多難。なんとか活性化したいと必死に提案した企画書もことごとく却下(泣)。その時ですね。日韓W杯のキャンプ地に名乗りをあげた美作市の担当の方が協会に来られて、「サッカーで町おこしができないか」みたいな話でした。とはいえ私はただお茶を出しに行っただけで(笑)、上司が来るまでのつなぎで女子サッカーについて熱く語ったんです(笑)。やるなら何でも協力したい!って。それがスタートでしたね。
梶谷
そうだったんですか。それで結果的に選手としての素晴らしい実績、指導者としての資質を備えた本田さんにラブコールが来たんですね?
本田
おっしゃるとおりです(笑)。「だったら本田さん来て!」みたいな感じで。「わかりました!」って答えたはいいんですが「美作ってどこ?」が正直な気持ちで、私にとっては一大決心でしたね。
梶谷
就任後、二年目でLリーグに加盟されて、ニ〇〇五年に一部昇格、昨シーズンは五位と健闘されていますが、選手の皆さんは、普段どんな生活をされているんですか?
本田
選手は地元の美作や津山のスーパーや旅館、病院などで仕事をしながらサッカーを続けています。普段の生活では、食事の差し入れ(県北ですからイノシシ肉など)をしていただいたり、アウェーの試合のときは、応援バスを出していただいたり、意外ですが、ご年配の方が多いんですよ。
梶谷
美作の人たちに本当に可愛がられているんですね。でも正直、その活躍ぶりに比べて、ベルの素晴らしさが県民には知られていない気がします。たまたまネットを見て知ったんですが、全国のサポーターがインターネットで選ぶMVPに宮間選手は、2年連続で受賞されているんですよね。これなんか本当に凄いことですよ。
本田
宮間は小学校五年生のときから知っています。だから彼女には、私の精神を徹底的に叩き込んでいます(笑)。サッカーが本当に好きな子で、毎年、美作市内の幼稚園を集めてサッカー大会を開くんですが当然、選手もボランティアとして参加します。
宮間なんかは、いきなり子ども達に向かって「あやちゃんと呼んでくださいっ!」みたいなノリで自然に溶け込んでいくんですよ。プレーがうまい子は、教え方もコミュニケーションの取り方もやっぱりうまいですね。
梶谷
一流は、何をやらせても一流なんですね。とにかく私たち県南の人間は、「ベルの試合を見て温泉に泊まって帰ろうツアー」でもいいから応援します。今シーズンもがんばってくださいね。