[河本] 実はね、昔、オランダのナショナルチームの監督にこんなこと言われたんです。『日本の実業団チームは恵まれすぎている』と。オランダはナショナルチームでさえスポンサーを集めて運営しているそうです。それを聞いてハッと思いました。バレーボールチームは、もっと気軽に市民や地域に密着した存在であるべきじゃないかと…。シーガルズを一企業に頼らず、複数の企業に出資していただくクラブチームとして立ち上げたのもそんな思いからです。もっとも周りには『どうせ二~三年で終わるよ』って思われていたみたいですが(笑)。
[梶谷] そうなんですか。今の活躍ぶりからは考えられないですね。昨年はV・プレミアリーグで女子クラブチームとして史上初の決勝ラウンド(上位四チーム)進出も達成されていますし…。日本のトップリーグの中で『岡山』の名前を冠したシーガルズが活躍するのは、まさに郷土の誇りです。それだけに選手の育成も大変だと思いますが…。
[河本] おっしゃる通りです(笑)。例えば、同じV・プレミアリーグの久光製薬さんには、世界選手権で最優秀スパイク賞を獲得した外国人選手が所属しています。これはサッカーに例えたら、ブラジル代表のロナウジーニョが日本のチームでプレーしているのと同じなんです。ちなみにうちのレギュラーで一八〇センチ以上の選手は一人だけ。逆に久光製薬さんは、四人が一八〇センチ以上、控えの選手もほとんどがそう。体格面でもそれだけ違いがあります。
[梶谷] 育成方法や采配、まさに監督の手腕が問われますね。実は私も以前、シーガルズの試合を間近で見たことがあるんですよ。サーブ、スパイク…とにかく迫力満点で、会場の盛り上がりもすごかった。やっぱりテレビで見るのとは違うなあと実感しました。
[河本] 試合が終わると年配のファンの方に『久しぶりに胸がときめいた』とか『監督、ハラハラさせないでもっと楽に勝ってよ』なんて言われます(笑)。岡山の方は、就実高校の活躍もあってか、昔からバレー人気が高くて、試合を見る目も肥えていますね。競技レベルも高くて昨年開催された中学生の中国大会では男女ともに岡山のチームが一位、二位を独占したそうです。
[梶谷] 国体五連覇をはじめ『シーガルズ効果』が岡山県のバレー界をレベルアップさせているんでしょうね。もっともっと県民をあげて応援しないといけないですね。
[河本] シーガルズは小柄なチームなんで、つい地味で粘り強いイメージになりがちですが、それだけではダメ。現状に満足せず、もっとバレーの明るさ、華やかさをアピールして新しいファンを増やしていきたいですね。
[梶谷] ぜひ、岡山を明るく元気にしてください。活躍を楽しみにしています。