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コロナ禍を乗り越えて定期演奏会、街角コンサート、病院でのライブ配信。
質の高い音楽で聴く人の「心を耕す」。それが岡フィルの使命。
梶谷「音楽やアート、エンターテイメント界にとって2020年は大変な一年でした。岡山シンフォニーホールの運営や団員(岡山フィルハーモニック管弦楽団)のモチベーションを維持するのも、さぞご苦労があったかと察します。」
髙次「はい。3月くらいからいろいろ情報を集めてギリギリまで公演開催に向けて、それこそ手探りで努めましたが、3月、5月の岡フィル定期演奏会は延期・中止、7月は客席は開催可能でしたが、ステージ上の密を避けることができずやむを得ず中止にしました。」
梶谷「率直にお聞きしますが、公演ができない期間、運営費などはどのようにされましたか。」
髙次「幸いと言うと語弊がありますが、岡フィルは登録団員制ですので、ギャラは公演の都度支払うシステムになっています。その他、文化庁や岡山市・岡山県からの助成金などにも助けられて厳しい時期も何とか乗り切ることができました。」
梶谷「10月の定期演奏会も無事開催、街角コンサートや岡山大学病院での演奏会(ライブ配信)も好評だったそうですね。」
髙次「岡山大学病院では敷地内のJホールでコンサートを開きました。感染防止のため無観客でしたが、オンラインで病室にライブ配信して患者さんたちに演奏を愉しんでいただきました。アンケートには「まさか病室でクラシックが聴けるなんて…元気出ました!」と喜びの声も書かれていました。」
梶谷「それは素晴らしいですね。もともと髙次さんは一級建築士の資格をもつ公務員から館長、岡フィルの事務局長という異色の経歴の持ち主ですが、岡フィルの可能性含め、今後の展望をお聞かせください。」
髙次「現在、日本には38のプロ楽団(日本オーケストラ連盟加盟)があります。そのうちの大半は東京や大阪などの大都市圏を拠点としていて、地方のオーケストラはまだまだ少ないのが現状です。そんな中、私は岡フィルに二つのミッションを課しています。ひとつは音楽の質をさらに高めて、レベルの高い音楽を提供する。二つ目は学校や病院、介護施設など、普段ホールに足をはこんで生の音楽や楽器に接することができない人たち、そして特に子どもたちに質の高い音楽を通じて『心を耕す』活動を継続すること。それこそが岡山を拠点とする私たちの使命だと信じています。」
梶谷「岡フィルの音楽を聴いた感性豊かな子どもたちが未来の岡山を創っていく。そう思うと音楽やアートの可能性、素晴らしさを地域や経済界を上げてサポートすることが大切だと感じます。考えてみればオーケストラはひとつひとつ違う音が集まって素晴らしいハーモニーになる。何となく企業の組織論にも通じるものがありますね。」
髙次「 楽団員には単に上手いだけじゃない、聴く人の心を動かす全身全霊を込めた演奏を期待しています。そのためにも立ち止まることなく改革を続けていくつもりです。」
梶谷「弊社の関連店舗でも9月から11月まで月一回出張コンサートを開催していただきました。音楽やアートはこれまで企業にとっては社会貢献の要素が大きかったのですが、今後は企業そのものの価値を上げる、そういう関係になれたらと考えています。社員とアーティストが触れ合うことで、お互いレベルアップし、WinWinの関係が築けたら素晴らしいですね。これからの活動に期待しています。今日はありがとうございます。」
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